理想の恋愛関係
ガックリする私に、優斗君は優しく微笑みながら言った。


「行こう」


そして、なんと自分から手を繋いで来てくれた。


「ゆ、優斗君……」


凹んだ気持は一気に消え去り、そのまま優斗君に抱きつきたくなる。


なんとか我慢して、駅までの道を二人で仲良く歩いて行った。





デートは最高だった。


良くない提案だと思った映画も面白かったし、一緒にポップコーンを食べたのも幸せだった。


その後、お茶をして街をウロウロして……ごく普通のデートだったけど私にとってはもう一生忘れられないくらい、本当に楽しかった。


夕方になり、日が落ちて来ると優斗君が言った。


「夕食に例のレストランを予約したんだ」

「えっ? 本当に?」

「緑さん、行きたがってただろ?」

「そうだけど……」


優斗君が私の為にわざわざ予約してくれたなんて。


本当に恋人同士になったんだって実感して、感動で涙が溢れそう。


「行こうか。お腹空いただろ?」

「うん」


私達は、もう当たり前の様に手を繋いだ。
< 326 / 375 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop