理想の恋愛関係
「……鈴香だって順調でしょ? 龍也の仕事だって有るんだし」


私は一切関知していないけど、鈴香は龍也の紹介の仕事関係で忙しそうに動き回っていた。


鈴香は少し迷った様子を見せながら言った。


「龍也の仕事ね……結構手こずってるの。依頼主のサロンのオーナーに、イメージと違うって言われちゃって」

「え……そうなんだ」


そういう事は時々有る。


でも張り切っていた仕事だと結構キツい。


鈴香も理由は違うけど、かなり悩んでいるんだろうと思った。


「……鈴香も飲みなよ」

「え……私はいいよ。緑みたいに朝までにリセット出来ないから」

「じゃあ、食べたら?」


テーブルに置いて有るカルパッチョを勧めると、鈴香は嫌そうな顔をした。


「普通、悩みが有ると食べられなくなるもんよ」

「でもそれだと、ただ弱っていくだでしょ。体力付けて明日から仕事頑張って」


しつこくそう言うと、鈴香は苦笑いしながらも少しずつ食べ始めた。


私も鈴香に偉そうに言える立場じゃない。


なんとか気持ちを切り替えて、優斗君を冷静に待つなり、何か行動するなりしないと……今のままじゃ駄目になってしまう。


……とりあえず食べよう。


メニューを手に取り、店員を探す為、キョロキョロとした。


そのせいで、嫌な光景を見てしまった。
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