理想の恋愛関係
「優斗君は……半月経った今でも私が嫌い?」


短い間だけれど私なりに気持ちを伝えて来た。


さっきだって、本当に僅かだけど優斗君は笑顔を見せてくれた。


それでも優斗君の気持ちに何の変化も無くて、今でも私に対する感情は嫌悪だけなのか。


私の言葉に優斗君はバツが悪そうな表情になった。


「……緑さんを嫌ってる訳じゃありません。ただ本当に今は余裕が無くて……」


優斗君は私に気を遣ってくれているのか、曖昧に言葉を濁した。


はっきり言わないのは、私に対する思いやりなのかもしれない。


でも今の私にはその優しさが逆に辛かった。


卑屈な気持ちになってしまう。


「もし……相手が私じゃなくても同じ事言っていた?」

「え?」


私の問いかけに、優斗君は怪訝な顔をした。


「以前好きだって話してた女性が相手なら、どんなに忙しくても何とかして両立しようとしたんじゃない?」

「……」


優斗君は答えなかった。


けれどその沈黙で気持ちは伝わって来た。


彼女が相手なら、優斗君はどんな努力もしたのだろう。


それは当然の事だった。


私と彼女では立場が違うんだから、比べて傷付く方が間違っている。


そう頭で分かっているのに、胸に痛みが広がっていくのを止められなかった。

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