明日の果て
「観ないの?」

 薄くブリーチしたショートヘアをいじり、ニヤニヤしながら剛に尋ねる。

 解ってるくせに! と睨みを利かせた。

「観ない。観たくない」

 言いながら、ふと画面に視線を落とす。

「観てるじゃん。観られるようになったの?」

 恐がりもせず観ている剛に彼女は、怪訝な表情を浮かべた。

「え、いや……」

 変だな、怖くない。なんでだ?

 何をやっても克服できなかったのに、なんでいきなり平気になったんだろう。

「あっ!」

「何!? いきなり大声出さないでよ」

「あ、ああ。ごめん」

 そうだ、絶対アレのせいだ。
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