明日の果て
「ハァ……何してんのかな、俺」

「まったくだ」

「うわあ!?」

 突然の声に驚いて変な声が出た。

 後ろからの聞き覚えのない声に顔を上げると、知らない男の顔が目に入ってきた。

「……えと?」

 長い黒髪の、よく見るとどこか見覚えのある顔立ち。

「私が好きなのか」

 いや、男を好きになった覚えは──と言いかけたとき、男のしゃべり方と少しクセのある髪型に思い出す。

「!? デイ!?」

 男のデイが剛の横に腰を落とした。
< 64 / 153 >

この作品をシェア

pagetop