いとしのくまこさん
「本当にクマが好きなんだね」


「クマのぬいぐるみを持っているからって、バカにした目をするんですね」


「うらやましいのよ。素直で」


伊吹くんは、口を開こうとしたがためらって口をつぐんだ。


「嫌われてるの。クマのぬいぐるみに」


エレベータ前にあるゴミ箱にリングを投げ入れた。


「このクマ、かわいそう。上にいって直してあげるから戻ろっか」


伊吹くんは黙ってわたしの後ろをついてきた。
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