君のお隣
愛華を梅川から連れ出すのはこれで二回目。
俺は人があまり通らない階段まで愛華を連れてきた。
俺は愛華の手を離し愛華の方を向いた。
‥‥連れ出したのはいいものの、何を言えばいいのか分からなかった。
愛華もずっと俯いていて、どんな表情をしているか分からない。
しばらくお互い何も話さず、気まずい雰囲気が流れていた。
俺はしびれを切らして口を開いた。
「‥‥愛華‥あのさ‥」
「‥んでよ‥‥」
「‥え?‥」
「なんでっ‥何で私に構うのっ‥」
愛華がそう言いながら初めて顔を上げた。
「あ、愛華っ‥泣いてたの‥?」
愛華の大きな瞳からは次々と涙が流れていた。