理想の恋愛
俺と麗と和磨は二階にある2年B組の教室に入っていった。
どういうわけか、俺たち3人は小学校の頃からほとんど同じクラスだった。


「うーらら♪」


教室に入るなり、1名の女子生徒が麗に抱き着いてくる。


「あ。明香おはよう。」


冷静に挨拶する麗。


そしてこの朝からスキンシップの激しい極々普通のルックスの女子生徒こそ先ほど話に出てきた明香こと渡辺(ワタナベ) 明香(アスカ)である。
明香は中学の頃からの付き合いで、今では麗の大親友である。


「お前ら俺たちより先に行ったのに来るの遅かったな。」


明香の後に続いて俺たちに話しかけてきたこの見るからに秀才なイケメン男子生徒は新井(アライ) 秀(シュウ)
こいつも中学校の頃からの付き合いである。


「あれ?お前いつの間に俺たちを抜かしたんだ?」


和磨が不思議そうに尋ねる。


「たぶん、俺たちが校門でアナゴさんの話をしてた時だろ?」


俺が冷静に言う。


「あぁ、たぶんその辺だろ。
俺とこいつ(明香)は裏口から入っていったからな。」


恐らく、秀は校門前にアナゴさんがいたから裏口を使ったのであろう。
秀はアナゴさんのお気に入りの一人なので、見つかるといっつも長々と話に付き合わされるのだ。


「もう、秀ちゃんったら大胆だったんだよぉ?
いきなり私の手をつかんで裏口まで引っ張っていくんだもん。
私、どんなプレイをするつもりなのかってドキドキだったんだから。」


顔を赤らめながら変に色っぽい声で恥ずかしそうに言う明香。
むろんそれは演技である。
こんなわけのわからん場所で色気を出すな。


「それより、今日は1限目体育だよな?
先に準備しておこうぜ。」


秀は明香のボケを思いっきりスルーして席に戻ろうとする。


「ちょっとちょっと、私の朝一番の渾身のギャグを無視しないでよ!?」
「お前のギャグは今日の道中に嫌というほど聞いたわ!」


冷静にツッコむ秀。
和磨はその会話何故か羨ましそうに見ている。
麗はいつの間にか自分の席に荷物を置いてカバンからメロンパンを出して食べている。
あいつは1日に何個メロンパンを食べる気だ。
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