理想の恋愛
キーンコーンカーンコーン!


チャイムと同時に担任が教室に入ってくる。
それをきっかけに秀と明香の漫才はいったん中断とされ各々の席に戻る。
俺と和磨も自分の席につく。

麗はいまだにメロンパンを食べている。
それどころか麗の机には5個メロンパンが並んでいた。
あいつのカバンにはメロンパンしか入っていないのでは?


日直の号令で朝のホームルームが始まる。
担任こと城島(キジマ) 茉央(マオ)通称マッキーが生真面目に今日の連絡を告げる。
マッキーは曲者ぞろいのこの桜南高校の先生陣で一見普通感じなもするが、実は最も癖のある教師なのである。
どれくらい癖があるかは、今日の5限目の現国の時間に説明することになるだろう。


そんなことを考えながら俺はぼんやりと窓の外の景色を眺めていた。
外はまさに桜が満開といった感じで、風が吹くと桜の花びらがきれいに舞っていた。

ちなみに俺の席は教室の奥、窓際の一番後ろである。
しかも回りは全員男子という女性恐怖症の俺には願ってもない席なのである。


これは、マッキーが俺の特異体質を考慮してこの席にしてくれたのである。
何ともいい担任だ。


「・・・というわけで、今日の5限目の現国の時間に席替えを行います。」

ん?
俺の聞き違いか?
今、席替えといったか?


「全員、昼休みまでに前の紙に名前を書いておくこと。
いいですね?」


どうやら聞き違いではなかったらしい。


「おい、和磨。なんで席替えなんだ?」


俺はななめ前の席にいる和磨に尋ねた。


「・・・・・・。」


返事がない。
よく見ると和磨は机の下に何やら本を隠しながらそれを読むのに夢中になっていた。
しかもエロ本ときたもんだ。
よく学校で堂々とそんな本を読めるもんだ。


俺は諦めて後で秀に聞くことにした。
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