初恋。
『「いってらっしゃい!」』

優菜と廉の声をきいて、私達は夜の森に出発した。



廉は優菜が好きだ。
それも知っている。



私達がいない間、二人の距離が縮めば良いと思った。





それは廉のためだ。



ライバルを、優菜を、海斗から離すためではない。




そうだよ。




廉のためだ。







そう自分に必死に言い聞かせる。





「ゴミ箱、どっちやっけ。」

急に海斗の声がして、我にかえる。


「あっ、左じゃない?」












沈黙が続く。






海斗は元々口数が多い方ではない。



特に異性の前ではあまりしゃべらない。




私が、何か話題を作らないと。







「廉ってさ、優菜のことすきなんよね。」






初めに出た話題がこれだった。




「うん。」



「優菜はさー、廉のことどうおもってるんかな?」



そんなこと、海斗にきいても仕方がない。




「......。」




「あっ、いや、あのさ、何となく気になっただけ。」





「好きなんじゃない?」






海斗からは思いがけない回答がかえってきた




「え?」





「あいつ、いいやつやしさ、優菜もあいつのこと良く思ってると思う」




「そうやんね。廉、いい人やもん。私も、そう思う。」











私は裏切った。





海斗の鈍感さを利用して、廉の優菜への気持ちを利用して、








優菜を裏切ってしまった。
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