その指に触れて
「今日は、何しに来たの?」


遥斗の声と共に、缶チューハイがテーブルに置かれる。


「遊びに来ただけ。遥斗」

「何?」


遥斗はあたしの向かい側に座る。Tシャツにジーンズとラフな格好で、相変わらずメガネだった。


「飲むんだね」

「何が?」

「酒」

「飲むよ、普通に」

「なんか意外」

「今日は金曜だからってのもあるか。平日は飲まないよ」

「どこで手に入れたの?」

「サークルの先輩が手土産にくれた。捨てるのもなんかね」

「何入ってんの?」

「映画サークル。まあ、基本うちは飲みサー」

「ふうん」


美術からは完全に足を洗ったらしい。


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