その指に触れて
「……遥斗」

「ん?」

「それだけはダメってどういうこと?」

「……え」

「あたしは抱けないってこと?」

「あ、いや、その、えっと……」

「やっぱりゲイなんだ」

「そ、そういう解釈なんだ……」


遥斗が苦笑する。


「……でも、助かった」

「ん?」

「遥斗ががつがつしてたら、あたし確実に間違った方向に行ってた」

「……けなしてんの?」

「今は褒めてる」

「今は?」


なんだか笑えてくる。


「……ありがと」


小声でぽつりと呟いたら、遥斗は「お礼言われるほどのことしてないよ」と笑って、頬にある手をあたしの頭に乗せた。


「帰ろっか」


遥斗がすぐに頭から手を離して立ち上がる。


なんだか不満が残る。


……なでなでしてほしかったのに。


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