この恋、極秘恋愛につき社内持ち込み禁止

シャワー全開で泣いた。


さっき銀之丞の前で泣いた時とは全然違う涙。私のプライドが"見られたくない"と叫んでいる。


いとも簡単に親に捨てられた私。そんな自分を哀れだと同情されたくなかったんだ。


自分の娘より男を選んだ母親。お母さんにとって、私はなんだったの? そんな簡単に捨てられるほど、小さな存在だったの?


親に捨てられたのは、これで2度目。3歳の時にお父さんが居なくなった時は幼過ぎてよく分かんなかった。でも、今回は全てを失った様な気分。お先、真っ暗だ。


お風呂から出ると銀之丞がキーボードを打つ音が聞こえてきた。


「よう、出たか?」


パソコンの画面を見つめたまま振り返ることなく彼が声を掛けてくる。


「うん……」

「ちゃんと泣いたか?」

「えっ?」

「辛い時は泣けばいい。無理することねぇよ」

「つ、辛くなんてないもん! 泣いてなかないよ!」


自分の心を見透かされたみたいで、焦って怒鳴ってしまった。


「そうか……」

「そうだよ!」


その会話を最後に私たちはお互い何も喋らなかった。ただ、キーボートを打つ音だけが部屋に響き、私は膝っこぞうを抱え部屋の壁にもたれ掛かる。


ふと気付くともう夜中の1時。


「ねぇ、まだ終わらないの?」

「あ、あぁ。まだまだだ……」

「そう……」


さかずにふたりっきりの部屋で無防備に寝ること出来なくてモジモジしてると、彼がチラッとこちらを向き「眠かったら寝ろよ。俺のことは気にするな」なんて言う。


あのねぇ、気になるに決まってるっしょ?


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