この恋、極秘恋愛につき社内持ち込み禁止
「どうした?」
銀之丞が私の頭の上から顔を出し、居間を覗き見る。
「なんだ、留守か?」
「そうみたい」
でも、なんか変だ。布団は常に引きっぱなしだったのに、綺麗に片づけられてる。
そして見つけたローテーブルの上の一枚の紙切れ。
《ミーメちゃんへ、ミーメちゃん、お母さんは彼と一緒に住むことにしたの。だから、もうこの部屋には戻りません。生活費は通帳に毎月振り込むからね。では、バイバイ》
「バイバイって……」
呆然と立ち竦む私の手から紙切れが滑り落ち、それを拾い上げた銀之丞が断りも無く勝手にそれを読んでいる。
「ひでぇ~親だな」
銀之丞の言葉が胸にグサリと突き刺さる。
ショックだった。あんな母親でも、存在を感じられるだけで安心感があった。今、ここにひとりだったら、確実に私は泣いてたと思う。
でも、そんな弱い姿を他人に見られるのが無性に嫌で、握りしめた手を更にグッと握りしめ、笑って見せた。
「どーってことないよ! 居ても居なくても変わらないし、ひとりになれて清々した」
「そうか……」
銀之丞はそれ以上何も言わなかった。
「それよりパソコンだよね。古いからサクサク動かないけど、自由に使って。私、お風呂入ってくるから……」
「あぁ」
彼の目の届かないとこに行きたかったんだ。涙が……もう我慢できない。
私、今日から独りぼっちなんだ。