桜猫
「ところで君、名前は?」
ブラウンの男にそう聞かれ、名前をどうするか迷ったが本名でもいいと思った。
「瑠奈…」
ブラウンの男は答えたことが意外なのか、驚いている。
「俺は悠だよ、よろしく」
その言葉に返事はする必要はないと、自己解釈をして返事はしなかった。
「ここが、理事長室だよ」
目の前には大きな扉。
扉に手をかけると、悠はそそくさと帰って行った。
息を吸い込み、扉を押す。
「やぁ、久し振り。瑠奈」
驚愕してしまった。
この人が理事長をしているとは思わなかった。
「千景…」
新市 千景(シンイチ チカゲ)
昔、全国一の暴走族を纏めた凄い人。
「ビックリしたよ?いきなり電話が来て、来るって言うから」
笑いながら言う千景。
「千景…担任…」
千景は一瞬悲しい顔をしたが、すぐに担任を呼んでくれた。
担任もすぐにやって来ると、笑顔で言っていた。