かけぬける青空は、きっと君とつながっている
その眠りの中で見た夢は、間宮さんに浜辺で言われたことや、眠れずにひとり貝殻を並べている、という、さっきまでの物悲しい現実とは遠くかけ離れた楽しい夢で、その夢の中の間宮さんは、とても朗らかに笑っていた。
ああ、間宮さんはこんな顔で笑うんだ……。
そうおぼろげに思ったところで、寝ている間に少し体が動いたのだろう、貝殻がコトンと倒れる音で、あたしは、はっと目を覚ました。
「……あ、朝ご飯の支度、手伝わなきゃ」
今日もまた、1日がはじまる。
着替えて台所に下りていくと、すでにお母さんとおばあちゃんは朝ご飯の支度に取りかかっていて、なんだかんだと文句を言い合いながらも楽しそうに並んで台所に立っている、という、昨日と少しも変わらない朝の風景だった。
「おはよう、菜月。昨日はどうだった?」
「うん、綺麗な満月が見られたよ」
「それはよかったわね」
ここはやはり、というべきで、間宮さんとはどうなの? という意味の含みのある聞き方をしてくるお母さんに、あたしは笑ってそう返す。
……うん、本当に綺麗な満月だった。
本当に、本当に。
ただ、それだけだ。