かけぬける青空は、きっと君とつながっている
聞こうと思えば、踏み込んでいこうと思えばいくらでもできたのに、それをしなかったのは、間宮さんへの甘え、そして、我が身可愛さのあまりの、保守的な考えによるものだ。
あたしの中では、間宮さんと出会ったこの夏の間に、少しずついい方向に変わってこられているかな、という手応えはあったりした。
自分の考えを言えるようになったり、積極性が増したようにも感じていたり、声の仕事に就きたい、という夢があることも初めて話し、その気持ちは、日々大きくなっている。
お母さんやおばあちゃんにも近いうちに打ち明けるつもりでいて、反対されても、応援してもらえるように何度でも説得をしよう、そう気持ちが固まり、頑張る覚悟を決めている。
それらは全て間宮さんが変えてくれたからだ。
けれど、根本は全然変わっていなかった。
もしも、傷口をえぐる覚悟や、さらなる拒絶を覚悟して間宮さんに踏み込んでいっても、逆鱗に触れるだけで、何も話してはもらえないだろう、と、諦め癖が見事なまでに身に染みついていて、今もなお、取れずにいるのだ。
間宮さんの根本にある闇を垣間見て、自分の不甲斐なさを、これでもかというほどに思い知らされ、枕に顔を押しつけ、嗚咽混じりの声を殺して泣くことしか、あたしにはできなかった。