かけぬける青空は、きっと君とつながっている
 
お母さんに言われた通り、ハルと香ちゃんのことは、あたしも、ある程度は割り切らなければいけないだろうな、と思っていたところだ。

今はまだ、駆け落ち騒動から日が浅いため、昨日、今日では、香ちゃんのお母さんの気持ちも落ち着かないことと思われる。


けれど、眠れなかった原因は、間宮さんの秘密を知ってしまったことに比重が大きい。

休めと言われたところで眠れるかといったら、そうではないように思えて、お母さんに適当に話を合わせただけに終わってしまった。

そうして、食器を並べたり、料理を盛りつけたりしていると、おばあちゃんが姿を現す。


「奈緒子、これ。菜月が帰るときにも持たせるつもりだけど、奈緒子も持っていきなさい」


そう言って、裏の畑で穫れたばかりの野菜がたくさん入ったザルを抱え、料理を押しのけ、お母さんが座る席の前に、どかりと置いた。

ナスにとうもろこし、きゅうりにオクラ、トマトに小玉スイカなどの夏野菜を目にしたお母さんは、小さくため息をつくと「こんなに持ちきれないわよ」などと文句を言いながらも、大きい紙袋を探しに、台所を出ていく。

まんざらでもなさそうなお母さんの様子に、おばあちゃんとあたしは目を見合わせてクスリと笑うと、また手を動かしはじめる。
 
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