かけぬける青空は、きっと君とつながっている
「え、でも……」
「男の子のそういう約束、私好きよ。あなたの話を聞くと、弟はすごく楽しみにしていたみたいだし、この写真も、あなたが持ってこそ意味が生まれるものなんじゃないかと思うの」
「……」
そう力強く言われ、しかし俺は、直筆の遺書も頂いてしまっている手前、秀斗に関するものをこれ以上家族の手元から離してしまってもいいものなのだろうか、と考えあぐねてしまった。
すると姉は「いいからもらって」と。
半ば、強引にも思える渡し方で俺の手に写真を握らせると、仮設住宅へと戻ってしまう。
俺の手元には、秀斗の直筆の遺書と、持ち歩きすぎて、くたびれてしまった写真が1枚……。
いわば秀斗の意志の本体とも思えるような、彼らにとって一番大事だろうものが残った。
秀斗の家族が、どういう思いでこれらを俺に託してくれたのか、その真意は計りかねるが、姉が言ってくれたように、もしも仲間の意志を継いで旅をしようと思えたとき、できることなら秀斗も連れて行ってやりたいとは思う。
いつか俺がそういう気持ちになるかもしれないことを見越して、今、この写真を託してくれたのだとしたら、秀斗の姉は、なんて懐が深い人なのだろう、そう思わずにはいられない。