かけぬける青空は、きっと君とつながっている
 
「……どうした?」


いつの間にか歩くのをやめていたあたしを振り返って、間宮さんが聞いてきた。

強烈な西日を左半身に浴びている間宮さんの顔は、濃い影ができていて表情までは見えない。

けれど声はすごく優しくて、あたしはなぜかぼやけてくる間宮さんの顔を見ながら、きゅっと下唇を噛んでうつむいた。


すると、ふわり……。

間宮さんの手が、あたしの頭に触れた。


「なに泣きそうな顔になってんだよ。今から話しに戻ればいいだけのことだろ。気持ちってのはな、思ってるだけじゃ伝わらないし、伝えなきゃ理解だってしてもらえない」

「はい、そうですよね」

「お前も母親もばあさんも、自分の気持ちを伝えられる相手がちゃんといるんだから。すぐに分かりあえるとは限んないかもしれないけど、言わないまま腹に抱えているよりは、ずっといい。……そう思うけどな、俺は」

「はい」


間宮さんの言葉の数々が、もやもやしていた心の真ん中にすとんと落ち着く。

お母さんもおばあちゃんもあたしも、きっとお互いに、分かり合いたいという気持ちはずっと前から同じだったはずだ。

ただ、そのきっかけが掴めずにいただけ。

今日お母さんが民宿を訪ねて来てくれて、間宮さんがいてくれて、本当によかった。
 
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