かけぬける青空は、きっと君とつながっている
 
「じゃあ、戻るか」

「そうですね」


出かかっていた涙を拭いて返事をすると、間宮さんはあたしの頭をぐしゃぐしゃにする。

間宮さんには家族のことや泣きそうになったりと恥ずかしいところを見せてしまったけれど、それはそれでよかったと思う。

間宮さんがいてくれなかったら、あたしは今ももやもやした気持ちのままだっただろうし、ここまでお母さんの気持ちを考えようとも思わなかったかもしれない。

民宿に戻ったら、間宮さんの夕ご飯、大盛りにしてあげようかな。


「おい、早く来いよ」

「あ、はいっ!」


すでに数歩先に行っていた間宮さんが、振り返ってあたしを急かす。

それに笑って返事をして、あたしは小走りに駆け寄り、民宿への帰り道を急いだ。

たった今まで強烈だった西日は、ふと見ると、ものの数分で山の向こうに沈もうとしていた。

民宿に着く頃には、辺りは夜だ。


「間宮さん、ありがとうございます」

「なんだよ、いきなり」

「いえ。ちょっと言いたくなったので」

「は? 意味分かんねー」


間宮さんはそう言って茶化したけれど、あたしはちゃんと分かっている。

あたしを元気づけようとしてくれたこと。
 
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