俺様編集者に翻弄されています!
(なにこれ、なにこれ……なにこれ!)

 悠里はそこに書き綴られている読者からの言葉に、頭の中が真っ白になって唇をギュッと噛み締めた。


 そんな悠里の姿を見たエミリーは、想像通りの反応だったと満足げにほくそ笑んだ。


「あなたの「忘我の愛」に対する読者の率直な意見よ」

「そ、そんな……」

「忘我の愛」は連載当初から人気絶頂で、ファンレターも応援の声ばかりだった。けれど、読者の中には自分の作品を批判する人もいるのだと、わかっていたつもりだったが、その事実をまざまざと突きつけられると心が痛かった。

 
 ―――悠里の小説は駄作。

 ―――面白くない。


 その時、悠里のトラウマの原因になった自分の小説に対する辛辣な過去の批判が次々に脳裏に蘇った。


「う……」


(やだ、やだ、やだ……!)

 浮かんでくる批判の言葉を何度も頭の中で拒絶するが、耳を塞いでも脳裏でガンガンと響いてやまなかった。
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