和久井さん、さんじょー

優勝賞品





あの日から数日がたった。

あの日は普通に朝、教室であって会話をした。


…まるで何事も無かったかのように


歌唱力コンテストまであと二日。
私は、安樹に貰った台本をひたすらに覚えた。

んとと…
うん、大体覚えた。

梶くんの他に四人、出場するらしい

…梶くんの歌唱力だと優勝は決まっているけどね

梶くんはやはり椎が言っていた通り、美空慧に似ている、と学校で話題になっていた。

、でその梶くんが慧の歌を歌うのだから…話題勃発。

梶くんも狙っているのか違うのか…



ん…?台本の最後のページに…

“それでは!優勝者の発表です!優勝者には我が校から優勝賞品があります”


…だって
なーんも聞いてないのだけれど。
クラスの一度も話したこともなく、今隣に居る子に聞こう。


「ねぇ、貴女。明後日の歌唱力コンテストの優勝賞品…」


「ひゃっあ!…華様っ」


…?

「ねぇ、聞きたいのだけれど。聞きたい事は沢山あるのだけれど、1番に聞きたいのは華様ってなに?」


「すみませっ…華神様です!」


「…いやいや、様、神様の問題ではなくて…なぜ様付けなの?同じ学年よ…?」


「生徒会と仲の良い人達は様付けという学園の決まりです。もしかして…華様知りませんでした?」


…生徒手帳とか全く読まないタイプですもん。


「…恥ずかしながら。でも様付けは…なんか恥ずかしいというかなんというか…」


「でもこれは決まりですので。あら、静可様がいらっしゃる!皆様いきますよ!」


まわりにいた女の子が一斉に“はいっ”と言った。


「あ、申し遅れました。私静可様ファンクラブの会長でして…。優勝賞品の話もしてないですね、私達もまだ知らないのです。きっと杏樹様ならきっと…では失礼させていただきますわ」


そしてげたばこにいる静の元へ全力疾走して行ってしまった。


まったく優勝賞品のことを知らないまま時は過ぎていった
< 42 / 67 >

この作品をシェア

pagetop