【完】ヒミツの恋を君と。
「え?」





急なことに驚いていると、長いその指が目の前に現れて、あたしのアゴを掴んだ。

そしてグイッと上を向かされる。





「……あ゛、あ゛ぅ?」





妙な声が漏れる。


そしてまた、この体勢…。




昨日晴が言ってたことを思い出す。

そ、そっか、お客さん前でのパフォーマンスだっけ?



この体勢をされるのは今日で4回目。




晴のこの行動をパフォーマンスと割り切ればいいのに、これに慣れるはずもなく、近すぎるこの距離に心臓が騒ぎ出す。





周りの興味津々な視線が痛いくらいに感じるけど、吸い込まれそうになる晴の目から目は逸らせられない。


頬が熱い。





「…は、はる……」


「出来そこないの新人のくせに、なにサボってんだよ?ちやほやされてる暇があったら働け!バーカ」


「……」





シ────────────ン






静まり返る店内。



響いてるのは、あたしに言いたいことだけ言い放ってから、カウンターに向かって歩く晴の足音だけ……。




呆然と立ち尽くすあたし。


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