【完】ヒミツの恋を君と。
「ほら出来た!次はメイクして。はいこれ」


「う、うん」




目の前に置かれたのは顔全体が映る鏡と、立花さんのポーチ。

メ、メイクなんて生まれてこの方したことないんですけど?


隣で、自分の浴衣を自分で着てる立花さんにはそんなこと言えず、とりあえず適当に塗ってみることにした。




「ねぇ、桃佳、メルアド交換しよう。桃佳はメイクしてて。私が登録しとくから」


「う、うん」




バッグから携帯を取り出して渡すと、立花さんは2つの携帯を操作し始めた。


びっくりした。

さらっと『桃佳』とか呼ぶんだもん。





「ねぇ桃佳…ハルさんのアドレス入ってないけど?」


「…あ、うん。未だに聞けなくて」





そう、未だに聞けないまま。




「はぁ?彼氏なんでしょ?」


「違うよ…彼氏じゃないし」


「でも、好きなんでしょ?」





その質問に何にも答えられないでいると、立花さんは、あたしの顔を見てプッと笑った。




「酷いメイクだよ。貸してみて!」


「う、うん」




今度は、手際よくメイクが始まっていく。

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