【完】ヒミツの恋を君と。
「昨日姉さんから電話あったんだ。祐樹の父親が心配してるから、そろそろ帰って来いって」


「…そっか、そうだね」





晴は1ヶ月以上も家を開けてる。

だから、晴の家族の反応は普通で、あたしはそれ以上何も言えない。





「ありがとうな。今日はお礼にお前が好きなおかず作るけど、何がいい?」


「……グラタンがいい」


「え?」


「グラタンを一緒に作ろ」


「……ん、わかった」





お礼なんて…。

あたしは何もしてないよ。


ただ1ヶ月、うちに住んでもらって、祐樹先輩から遠ざけただけで。


また元の生活に戻れば、晴の現実は何一つ変わっていない。




夜になって、二人で作ったグラタンを食べながら、たわいもない話をして、笑い合った。


あの番組笑えたとか、店長がリツキさんに苛められてて面白かったとか、


そんな話をして笑い合ってると、あっという間に晴が帰らなきゃいけない時間になって。




楽しかった同居が終わる。


荷物のバッグを持った晴が玄関に立って、あたしを振り向いた。


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