【完】ヒミツの恋を君と。
『俺に関わるな』


そう言った晴の表情を思い出して、やっぱりまだ怒ってるのかと思って心臓がはねた。



「お前は、俺が傷つくって思ったら、自分は傷ついても、俺を守るために嘘吐くじゃねぇか…」


「え」


「お前、今日も俺をかばって自分が退学になる覚悟してたんだろ?」


「…あ、あれは」


「あの封筒も祐樹にはめられたんだろ?あの差出人の名前、祐樹の字だった」


「……」



気付いてたんだ?





「土曜日のバイトの帰り道の電話が祐樹からだったんだな?俺以外の男に呼び出されてノコノコ出て行ってんじゃねぇよ!」





そう言って、晴はあたしの背中に腕を回してギュッと抱きしめた。


晴の声は怒ってる。

でもその怒りは、あたしを想う怒りだって、どんなに鈍感なあたしだって分かる。





「俺になんで言わないんだよ?…俺だってお前を守りたいって思ってるんだよ」


「え…」


「俺のところから勝手にすり抜けていこうとするな!」





あたしを抱きしめる手に力が込められる。

晴の言葉に胸が締め付けられて、言葉が出てこない。



ただ、涙が視界をにじませて、

気が付けばあたしは晴の背中に腕を回してた。











「……きだ」


「え?」



耳に聞こえた晴の言葉。


吐き出した息と共に零れたその言葉は、あたしの耳にははっきり聞こえた気がした。

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