部長とあたしの10日間
「何ですかこれ」


目の前に並んだ鮭とおかかのおにぎりを見ながら眉を潜めると、


「何って、昼飯だよ。
そろそろ休憩したらどうだ」


部長の言葉にあたしは腕時計を確認して息を飲む。
嘘!
とっくにランチタイム過ぎてるじゃない。


あたしとしたことが。
部長とランチデートしようと思って、近場の美味しいお店検索しまくったのに。


「もしかして嫌いだったか?」


がっくり肩を落とすあたしを見て、部長が驚いた様子を見せる。
いや、そういうことじゃなくて。


「それが駄目なら、あとは梅干しか…」


そう言ってレジ袋をガサガサと探る様子に、怒りも吹き飛ぶ。


「大丈夫、どっちも大好物です。
いただきます」


あたしは苦笑しながら鮭のおにぎりを手に取った。


ああ。
部長ってば、やっぱり部長だわ。
何か憎めないのよね。
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