部長とあたしの10日間
「待ってたよー!!」


あたしたちが暖簾を潜ると、誘ってくれたうちの一人である木崎さんがすぐに気付いて席に案内してくれた。


隣の部署だから見知った顔がたくさん。
もちろん和田さんの姿もある。


あたしたちの到着が遅かったせいか、みんな既に出来上がっていて、部外者のあたしたちを快く迎えてくれた。


部長はまだ来てないんだ…。
部屋を見渡してちょっとがっかりしてると、気付けば木崎さんに隣の席をキープされていた。


木崎さんが以前からあたしに好意を持っているのは気付いていた。
それを知った上で利用したあたしもあたしだけど、ここでロックオンされるのは困る。
あたしの今日の目的は小泉部長なんだから。


ていうか、距離近くない?
お酒が進むに連れて木崎さんが近寄って来てる気がするのは思い過ごしではないはず。


沙織にヘルプを求めようにも、あたしのことなんか気にもせず顔見知りと楽し気に飲み食いしてるし。


「次は何飲む?」


木崎さんが何度目かのお酒を勧めてくる。
お酒は嫌いじゃないけれど、今日はあんたと飲みに来た訳じゃない。
そろそろ解放してくれないかな、と本気で困っていたとき。


「おい木崎、あっち飲み物足りてないぞ」


振り返ると和田さんが立っていた。
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