水瓶座の隣人(TABOO)






「水瓶座のあなた。旨すぎる話に乗ろう!ラッキーパーソンは、アラフォー女性」


ガッツポーズ゙を決める私の後ろで、みぃ子ちゃんが溜息をつく。


さて、効果はいかに。
約束の10時はもう数分後よ。

ピンポーン。
来た来た。

いそいそと開けたドアの先に。

「おはようございます」

白いパーカーに濃紺のサルエル、星条旗モチーフのリュックが挿し色、今日もキュートな、

「颯くん!どうぞ入って」

「いえ、もうジムに出勤する時間なんで。お返事だけ」

きりりとした眉のすぐ下、ボクサーらしい鋭くぴかりと光る瞳で、颯くんは言った。


「ジムのスポンサーになって頂く申し出、有難く、お受けします」

オーイェス!

詳しくは、また後で。
礼儀正しく頭を下げた彼を私は玄関から見送った。お尻がおいしそう。


隣に住む颯くんが私の監修する朝の占いに影響されてるのに気付いたのは、みぃ子ちゃんだった。
見かけるたびに、彼は水瓶座のラッキーアイテムを身につけていた。

試しに私が、『ベランダでバカヤロウと叫ぶと幸運が』という占いを作成したら、ビンゴ。
放送直後、颯くんの叫び声が聞こえたってわけ。

その日から、私は彼の運命を左右する隣人なのよ。


「みぃ子ちゃん、やっぱ来週の水瓶座は、隣人と一線を越えてしまおう、で行くわよ!」
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