アンラッキーなあたし
あたしは気が狂ったように部屋中を探し回った。さんざん引っかき回した部屋の中は、もはや、泥棒が荒したのか、あたしが荒したのか区別がつかない状態だ。

鍋の中や、畳の下、便器の中まで覗いたが、百万円の入った封筒はとうとうでてこなかった。

鼻水全開の情けない顔したあたしと、五本爪の龍の目が合う。龍は相変わらず険しい顔をしていたが、どこか頼りなげに見えた。「ごめん」と言っているようである。

ごめんじゃない!

あたしはベッドに倒れた。倒れた瞬間、おでこに激痛が走り、布団をめくると、そこにはなぜか「ドク郎君」がいた。
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