アンラッキーなあたし
「な、なんじゃこりゃあああ!」

太陽に吠えろの松田優作よろしく叫んだあたしは、痛くもない腹を抱え、一人うずく待ってしまった。

なんと、部屋が恐ろしく荒れていたのである。

もともと、ごちゃごちゃとした部屋ではあったが、さすがに自分の部屋の原型を忘れるほどあたしもバカじゃない。銭湯へ行ってわずか二時間あまりの間に、部屋は見事なまでに荒され、よく見れば、ガラス窓が割られている。

帰宅したあたしを歓迎してくれた夜風の発信源は、どうやらここらしい。

まさか?ど、どろぼう?

銭湯上がりで無駄に血色の良かったあたしの顔からみるみる血の気が引いていく。

ひゃ、ひゃくまんえんは…?

恐る恐る五本爪の龍に目をやると、龍が握っていたはずの封筒は跡形もなく消えていた。

NOOOOOOOOO!
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