アンラッキーなあたし
「占い師ってのはさ、まったく因果な職業だね。他人の人生は見られるのに、自分のそれは、まったくといっていいほど予測できない。だからってわけじゃないけれど、ほとんどの占い師は、大概不幸な過去を背負っているもんだ。けどね、立派な占い師ってのは、ぬくぬくとした環境じゃ育たないんだ。人様が経験しないような辛い目にあって、辛酸を舐めた占い師ほど、いい占い師になる。なんでだろうねぇ」

ルコ先生はゆっくりとタバコの煙を吐いた。

「じゃ、あたしは立派な占い師になれますね。泥棒にまで入られちゃって。はくがつきましたね」

へらへらと言ったあたしに、「甘ったれんじゃないよ!」とルコ先生が一括した。

「あんたの不幸なんて不幸のうちに入らない。みんな、あんた自身の甘さや弱さが招いた結果じゃないか。まったく、どうしようもないね」

叱られてあたしはしゅんとしてしまう。と、同時にルコ先生に反発心が芽生えた。

あたしの痛みや苦しみがルコ先生にわかってたまるものか。
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