アンラッキーなあたし
あたしのささやかな反発心など気にも留めず、ルコ先生は続けた。

「占い師ってのはね、陰の、つまり闇の部分は必要さ。でもね、闇しか持たない占い師もだめだ。陽の部分もなけりゃね。あんたに陽の部分なんてある?」

言われてあたしは考える。あたしに、陽の、つまりは光の明るい部分などあっただろうか?

「三年前あんたがここに来たとき、あたしはね、あんたの這い上がるのが見たくて、ここへ置いたんだ。どん底から這い上がるさまを一番近くで見届けたくてさ。別に、天下を取れって言っているわけじゃない。小さな幸せを見出せればそれでいい。幸せを感じられる人間になってくれればいいって思ってた。占い師は、ただのきっかけに過ぎなかったんだよ。ま、思いがけず才能が開花しちまったけれど。それが、なんだい。あんたは人気占い師の地位に溺れ、そのくせ、ベールを脱げばもとのだめ人間に元通り。目の前の幸福には気づきもせず、いつも他力本願。そんなあんたと付き合うのに、正直疲れちまったんだよ」

ルコ先生の言葉は厳しく、そのうえ、よく的を得ていて、だからこそあたしは涙が止まらなかった。

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