アンラッキーなあたし

「先生には、あたしの気持ちなんかわからないですよ。占い師として成功して、若い恋人までいて楽しい人生を送るルコ先生には。だいたい、あたしに陽の部分がないように、先生にだって陰の、暗い部分なんかないじゃないですか！」

あたしの精一杯の強がりに、先生は、さも愉快そうに笑った。

「アハハ…。さくら、あんた、それ、本気で言ってるのかい？こう見えても、私は結構茨の道を歩んで来ているんだよ。でもね、今は言わないよ。そういうことってね、不幸自慢対決みたいに軽々しく口にするもんじゃないよ。むしろね、不幸自慢できるような不幸は本物の不幸じゃない。本当に悲惨な経験をした人ってね、その経験をひけらかしたりしないもんだよ。絶対にね」

最後の「絶対にね」というところに、ルコ先生はやたらと力を込めた。

ルコ先生は、一体これまでどんな経験をしてきたのだろう？自由気ままで、いつも自信に満ち溢れているルコ先生が、暗い過去を背負っているなんて信じがたい話しだった。