アンラッキーなあたし
ばかだ、ばかだ、あたし。

トイレの個室にうずくまり、あたしは声を殺して泣いた。

中田さんに気味悪がられてることも知らないで、勝手に期待して、本当にバカだ。

こんなことになるなら、あんなこと言わなければよかった。そうすれば、あたしは傷つかなくてすんだというのに。中田さんとのことだって、綺麗な思い出として胸にしまっておくことができたのに。少しくらい優しくされたからといって、夢を見てしまった。もしかしたら、なんて、あるはずがないのに。

散々泣いたせいで、あたしのメイクはすっかり落ちてしまった。休憩時間はとっくに過ぎていたが、メイクを直してあそこに戻る気力はもはや残っていない。

メイクの剥げ落ちた顔にうっすらと浮かんだいまいましいあざを強く擦ると、そこだけが赤くなった。

鏡に映ったあたしの顔は、半分が占い師さくらで、もう半分がブスで根暗なあたしだった。

あたしは一体何をしているんだろう?あたしは一体何者なのだろう?

午後のデパートの穏やかな賑わいや、美味しそうな食べ物の匂いに溶け込む人々は、みな幸福そうに見えた。あたしは、やりきれなくなって誰もいない非常階段に向った。
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