アンラッキーなあたし
「さくらさん、よろしくねぇ」

「う、うげっ」

アユカがあたしをきつくハグする。強い香水の匂いに、あたしは危うく窒息しかけた。

「さあ、とにかく入って、お茶入れるからぁ」

「おう、悪いね。さくらもおいで」

「え、で、でも?」

なぜ、初デートで他の女のところに?そう聞きたかったが、瞬は靴を脱ぎ、ずんずん中へ入って行った。仕方なくあたしも後をついていく。

通された部屋は、何かの事務所らしかった。パイプ椅子とテーブルが置いてある殺風景な一室

「さ、座って待ってて。さくらさん何飲みます?」

「あ、じゃあ、コーヒーを」

「OK!つっちーはいつものね?」

「ああ」

いつもの?瞬とアユカは一体どんな関係なのだろう?瞬は何も説明してくれない。聞きたいことはたくさんある。けど、なんとなく聞けない状況だ。

瞬は相変わらず目が合うと、にっこりと微笑む。あたしも仕方なく微笑み返す。が、何かが違う。

あたしの中で危険信号が点滅し始めた頃、「おまたせー」とアユカがコーヒーを運んできた。

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