アンラッキーなあたし
着いた先は、古臭い雑居ビルだった。

え?ここ、瞬の家?な、わけないよね?

狭いエレベーターに乗りながら、だんだん不安になってくる。その気持ちを伝えようと瞬を見つめると、彼は「心配ない」と、にっこりと微笑んだ。

か、かっこいい。

あたしがくらくらしているうちに、エレベーターは止まった。瞬はある部屋前で立ち止まり、「さあ、ここだよ」と、インターフォンを押した。表札も何も出ていないドアの向こうから、「はぁい」と甲高い女の声が聞こえてくる。

「いらっしゃい!」

ドアを開けたのは、こてこてに化粧をしたミニスカをはいた金髪のギャルだった。

「よ、アユカ」

「あら、つっちー。おひさ!」

アユカ?つっちー?

きょとんとするあたしを、瞬が紹介した。

「アユカ、こいつ、さくら。俺の彼女」

俺の彼女…。なんていい響きなのだろう。

「やーん。超可愛い彼女ぉ。さすっが、つっちー!やるねぇ」

いつもなら癪に障るみえみえのお世辞も今日は腹が立たなかった。だって、あたしたち結婚前提の仲だもん!と誇らしい。


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