アンラッキーなあたし
「ただいまー。千葉さん?今日は早いですね?夕飯まだできてませんよ」

しかし、返事がない。まぁ、三回に一回はシカトされるのでそれはそれで構わないのだが、リビングのテレビが点いているのもおかしい。家を出るとき、確かに消したはずなのに。

ま、まさか?

あたしは慌てて自分の部屋(正しくは千葉の寝室)へ向かった。空き巣に入られた悪夢が蘇る。トランクの中に、これまで貯めた全財産が入っているのだ。もう少しで引越し日費用が貯まりそうなのに、盗まれてたまるものか。

けれど、その心配は取り越し苦労であった。部屋は朝出てきたときのまんまで、お金も無事。その代わり、アタシのベッド(正しくは千葉のベッド)で女の子が気持ち良さそうに眠っている。

この子は一体?もしかして、眠り姫?それとも、やっぱり泥棒なのだろうか?

あたしはそっと彼女に近づき顔を確かめた。その時、彼女が寝返りをうち、こちらに顔を向けた。
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