アンラッキーなあたし
ここでのあたしは「カリスマ占い師・さくら」。

みんなあたしのことを名前で呼んでくれる。それどころか、先生と崇められる。

医者でも弁護士でも代議士でもないのに先生…。

うっとりするほどいい響きだ。

中には「さくら様」なんて呼ぶ人までいて、これには少し照れる。

が、悪い気はしない。

まるで神?

まあ、恋に悩む女の子にとっちゃ、あたしは神様みたいなものだ。あたしの恋占いは自分でもびっくりするくらいよく当たるのだ。

仕事の無い週末、あたしはダサくて冴えないOLという殻から脱皮して、占い師さくらに化ける。

あたしのタロット占いは良く当たると評判で、いつも予約でいっぱい。とても週末の短い時間内で希望者全員みてあげるなんてできないほど、人気がある。

お客さんのほとんどが若い女の子で、彼女達にとってあたしの言葉は絶対だ。彼女たちを幸福にするも不幸にするもあたしの一声にかかっている。

だって、あたしは神様なのだから。

女神光臨。
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