アンラッキーなあたし
そんな苦労だらけの母が再婚したのはあたしが中学生のときだ。

再婚相手はいい人だった。背が低く、頭はツルン。顔も普通以下で、足がすごく短いけれど、でも、とてもいい人なのだ。

何度も言うけれど、本当に、本当にいい人なのだ。

それに、これといって特徴のない地味な母とよく似合っていた。反対する理由なんかなかった。

ただ…。

ただ、一つだけ。一つだけ気になることがあった。それは再婚相手の苗字。

新しいお父さんの苗字は「桜庭」さん。あたしの名前は「さくら」。

よって、あたしは「桜庭さくら」という麗しいのかギャグなのかよくわからない名前になってしまった。

それでも、まだあたしが可愛ければその名前だってよかったのだ。

まあ、本当にサクラの花びらのように可憐な人ねぇ!

と、言われるような容姿なら。


だが、しかし。あたしはしょせんおいわさんである。今風に言っても貞子だ。

桜庭さくらなんて名前、完全に名前負けしてて、我ながらひく。
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