アンラッキーなあたし
あたしの住むアパートはどぶ川の裏に建っている。年季の入った木造アパートは、暗く、じめっとしていて、臭い。

でも、ここがあたしの城なのだ。狭い1DKには所狭しと不思議グッズや開運グッズが置いてある。どれもこれもべらぼうに高いが、効果は薄い。

めでたく中田さんの連絡先を知れたがいいは、よくよく考えたら、あたしには定期預金を組む余裕などなかった。

ローンならある。だが、金はない。ついでに職ももうすぐ失うとくれば、貯金どころではない。

実は毎月の開運グッズの支払であたしの給料はほとんど消えていた。ざっと計算したところ、ローンだけで百万以上あることに気づき、めまいがした。

悩んだ末、あたしは実家の母に電話をかけることにした。お金を借りるだめた。情けないが、背に腹は変えられない。

久しぶりにプッシュする実家の番号に手が震えた。再婚した母には新しい家庭があって、年の離れた妹までいるのだ。生活が苦しいのに実家に住まないのは、母の新しい家庭に遠慮しているせいだった。
< 77 / 354 >

この作品をシェア

pagetop