アンラッキーなあたし
よし、決めた。

あたしはどきどきしながら、広告に載っている番号を押した。

いや、待てよ。

一度電話を切って考え直す。

そうだ、どうせ借りるなら少し多めに借りよう。そんで、どっか広い部屋に引っ越して、開業したらいいんだ。

気持ちの大きくなったあたしは、ついには、そんなことまで考え始めていた。

誰にも気兼ねすることのない、あたしだけの城を作ろう。あたし、これからは、占い師一本で生きていくよ。

がぜんやる気が出た。これまでの人生で、これほどまでに力がみなぎったことなどない。

まずはローンを返済して、それから、引越し代と、開業費と、当面の生活費…。ざっと二百万でどうだろう?

今度こそあたしは電話をかけた。

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