アンラッキーなあたし
お金は、驚くほどあっさりと貸してもらえた。

もうすぐあたしの干からびた通帳には二百万円という大金が振り込まれる予定だ。

そうと決まれば大忙しだ。さっそく明日から部屋を探し、家具も買わなくてはいけない。お客様専用のティーカップやふかふかのソファー。

あたしの鳩胸は希望ではちきれそうだった。

そうだ、運命は自分で変えなくちゃ!切り開いていかなくちゃ!あたし、やっとルコ先生の言っていることがわかりました。

あたしは物でごちゃごちゃに狭い部屋で小躍りした。

守り神だという五本爪の龍や、巨大なアメジストのオブジェ、天女の掛け軸や、ローズクオーツの置物の間をするするとすり抜け、くるくる回る。

埃で曇ったガラス窓にうつるあたしは、なんだかさっきより、ちょっとだけ顔色がよかった。

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