アンラッキーなあたし
けれど、お金の香りに混じって、自分の体から、今日辞めたばかりの会社の匂いがした瞬間、いっきに現実へ引き戻された。あたしには、あの忌々しい職場の残り香が染みついていた。

マジ、萎える。

それで、あたしは久しぶりに銭湯へ行く事にした。会社の匂いとともに、あたし自信に染み付いた二十八年分の不幸も洗い流してしまうのだ。体がふやけるくらいゆっくりと湯につかり、垢をすれば、なんだか生まれ変われそうな気がした。

アンラッキーなあたし、アディオス。

< 95 / 354 >

この作品をシェア

pagetop