《爆劇落》✪『バランス✪彼のシャツが私の家に置かれた日』

私が後ろを向き一歩踏み出した途端、ドアが閉まる音がした。

信じられない!

普通、上がっていく? お茶でも? わざわざごめんね。30円ごときで来てもらってありがとうの一言ぐらいあってもいいんじゃないの?

まあ、実際誘われたところで良く知りもしない男のマンションになんか頼まれても上がらないけどね。

ハー最近の若いやつは、あんななんだ。

閉まったドアに向かって思い切り、あっかんべーーーーと舌を出しているところにいきなりドアが大きく開いた。


「……なにやってんだ?」


「いーえ、べつに。顔の運動です」

「そういうのは、家に帰ってからやれよ。人のうちの前でやるなよ、気色悪い」

「気色悪いって何よ! 本当に口が悪い!」

「他の所は、いいんだから口くらい悪くてもカバー出来るだろ」

他の所はいいって? 笑える男だね〜この人、自分で言ってるよ。

「はいはい、じゃ」
相当呆れながら片手を上げ、歩き始めた時に後ろから声をかけられた。

「おい、あんた。カレー食うか?」

いい香りのカレー。

今日の気分は、五目焼きそばだった。カレーがあるなら焼きそばを譲れって思った。


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