《爆劇落》✪『バランス✪彼のシャツが私の家に置かれた日』
ドアの前に立ち、またインターフォンを押した。既に共同の玄関まで来てるのを知ってるんだからドアから顔位出して待っておけばいいのに。
また、三浦はインターフォンから「はい」と返事をしてきた。
「……」
「名前ぐらい言えよ。普通なら開けないところだぞ」
「あんたねー、インターフォンに私の顔映ってるでしょ? それにさ下で名乗ったじゃん。わざわざここでも名前が必要ある?」
「ある。最近は物騒だからな」
アホか、お前は小鳥か。何をそんなに怯えてんのよ。立派なセキュリティ完備のマンションに住んでて良く言うよ。
私のマンションなんか出入り自由だから、いきなりドアの前に怪しい新聞屋とか余裕で来ちゃうんだから!
ガチャ……
ドアから出て来た三浦。
ライトグリーンの少しモコモコした可愛らしいフリース上下のルームウェアを着ていた。
げ、着替えてる。しかも、男のくせに触り心地が、めちゃくちゃ良さげなモコモコ生地のウェアだ。
悔しいけどモコモコが似合ってるから頭にくる。イケメンだと何でも似合ってしまうところを、これ見よがしに見せたかったに違いない。
可愛らしいモコモコ、私も欲しいよ。
また、切ない気分になったが三浦の前に立ち「はい。ありがとうございました」
きっちり30円を三浦の掌にのせた。
意外におおきな掌が30円を握った。
ん? カレーの香り。
鼻をひくつかせ背伸びして三浦の後ろを窺う。
「…なんだよ」
「え? なんでカレーの香りが? さっき五目焼きそば買ったのに」
「はあ? あんたに関係ないだろ。昨日作ったカレーも食うんだよ」
眉間に皺を寄せる三浦。
あら、嫌そうな顔しちゃって。
「そうですか。じゃ」