ワンだふる·ワールド 4 ~輝くワンコ達~《TABOO》
所狭しと駆け回り、愛想を振りまく彼ら。
歓喜と感動の中、ライブは終演した。
余韻に浸りながら、横を見るとクタクタに疲れきっているハチ。
周囲に触発されて、律儀にペンライトを振り続けていたらしい。
――でも、ハチ、あなたにはまだ仕事が残ってるのよ
心を鬼にして、指令を言い渡す。
「彼らを出待ちしてサインもらってきて!」
気力を振り絞って、ファンに埋め尽くされた裏出口へと向かう。
もみくちゃにされながらも、最前列まで辿り着いたハチ。
――やるじゃん!
と思いきや、出口が開いた途端、暴徒化したファンの波にハチはなす術もなく飲みこまれていく…
あぁぁと憐れんだその時、
「やっぱ、こっちで正解だったな」
と背後からの声にハッとして振り返ると…
目の前には…まさかのWANZメンバー!
どうやら向こうはダミーらしい。
咄嗟にハンカチを出して、難なくサインをGET!
サインを済ますと足早に去る彼ら。
夢心地で見送るはずが、突然チワワが踵を返して、
「ハンカチのサインだけでいいの?」
儚げに潤んだ瞳は、私を夢の続きへといざなった。
――ごめん、ハチ
――特別にリップサインも貰えるらしいの。
END
