【あなたと私で創るものがたり】
「これで大丈夫、よね」

 エアコンをおやすみモードにして私は眠りについた。

 安心していたのも束の間──そいつはやっぱり同じ時間に現れた。

 まずつま先を一本一本なぞり、次にくるぶし周りを撫でていく。

 足首をやんわり掴んだりしてふくらはぎを優しく揉む。

 蹴り飛ばしてやりたいけど動けないし声も出ない。

 恐怖で震えているのに金縛りはそれもさせてはくれない。

 坊主頭をこねくり回すように膝を撫でたあと、手は太ももに向かってくる。

 お守りが利かないじゃない!

 太ももの外と内をじっくりとなで回して、その手はとうとう私の大事な領域にまで入り込もうとした。

 パンツにじわりと指がかかる。

 それは脱がすでもなく、ゴムをなぞるように少しずつ股間に近づいてくる。

 幽霊も興奮しているのか手が汗ばんでいるようにも感じられた。

 指は私の恐怖を楽しむように、ゆっくりと迫ってくる。

 もうだめ耐えられない──
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