隣に座っていいですか?

春の陽射し
この木漏れ日を
去年一緒に彼と感じた気もする。

新一年生は黄色いカバーを着け、背中から余るくらいのランドセルを背負って元気に登校。

娘の笑顔が親の笑顔

って
偉そうに言ったりして。

リビングを片付けながら
窓の外を見ると

おやおや
ご主人様がひとり
桜の樹の下
白いベンチで読書ですか

朝から優雅ですね。

締め切りにも間に合ったようで
顔もスッキリ。

私はエプロンを外し
コーヒーが入ったマグカップを持ち
外へ出る。

心地よい風が
桜の花びらを誘い
ひらひらと舞い踊らせる。

ふわりと蝶のように
彼の柔らかな髪に落ちるので
私は微笑み
読書中の彼に声をかける。

「紀之さん」

白いシャツの彼は
座ったまま
ゆっくり振り返り
笑顔を見せた。

ちょっとへタレてるけど
優しくて
芯があって
いつも
私を受け止めてくれる人。

貴方といると
心が温かくなって
癒されて満たされる。

大好きな
大好きな人




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